雇用主側給与税の納税猶予による所得税効果
雇用主が給与税の繰り延べを選択し、帳簿では2020年の繰延税金分をその年の費用として計上したところで、税法上では2020年分の課税所得に対しての控除が認められず、翌年以降に繰越しとなる。こんな事実を知れば驚くことでしょう。ただし、発生主義を採用する納税者で、リカーリング・イクセプション(繰返し項目の例外)選択を行っていれば、通常は年末から8ヶ月半以内(暦年の場合は9月15日)に支払った繰延税金の一部を控除することが認められます。雇用主が、もし50%を2021年12月、残り50%を2022年12月に支払うという、上述の支払期間猶予を選択した場合は、繰延税金は発生主義・現金主義に関わらず、納税した年の控除になります。
繰延税金の最初の支払いを2021年12月まで引き延ばす必要はありません。CARES法では、雇用者が早期支払いを行うことを特に禁止していません。2020年12月31日以前に発生した繰延給与税については、発生主義の納税者が、2020年申告書での控除を受けるべく、2021年9月15日までに繰延給与税の支払いを済ませば、2020年への控除を受けることが出来ます。これは、2020年分の損失を より高い課税年度に繰り戻すことができる納税者にとっては特に魅力的かもしれません。
早期支払いの長所と短所
他に考慮すべき点がなければ、納税者は通常可能な限り控除を加速することで、より大きな恩恵を受けます。現在のところ、様式941申告の際に、雇用主の繰延税金の早期納付を報告するといった明確な手続きはありません。これは、繰延税金の早期支払いを選択する雇用者にとってまだ課題ではありますが、今後IRSがこの状況を明確にすべくガイダンスを発行する可能性はあるでしょう。
また、今回の選挙結果を受けて、今後の税率引き上げの可能性を巡って懸念の声が上がっています。税率の上昇が目前に迫っている場合、納税者は、控除を急ぐよりも、より高い税率での控除が得られるなど、支払いを延期することから受けられる潜在的メリットも考慮する必要があります。
事前に計画
雇用主は、年末の税務プランニングの際、CARES法に基づく給与税繰延べによる所得税控除のタイミングを考慮する必要があります。雇用主によっては、2020年で控除を受けるメリットよりも、2021年への支払い繰延特典から得られるキャッシュフローのメリットの方が大きい場合もあります。早期返済を選択する一方で、結果的に生じる潜在的な管理上の課題にも注意する必要があります。いずれにしても タイムリ-且つ適宜な選択を行うことが重要です。
給与税の納税猶予が企業の確定申告にどのように影響するかについては、プランモランのアドバイザーにお問い合わせください。